中国や台湾、香港などの中華圏ではみんな中国語を話しているの?中国語と台湾語って同じ?私が台湾華語を学びたいと思った時、疑問に感じたことです。もしかしたら、台湾に興味がある誰しもが感じたことかもしれませんね。
中国語と台湾語は全く違います。そして、中国語と台湾華語も違うところがあるのです。
そこで今回は、中華圏の国(台湾、中国、香港など)で使われている中国語の特徴についてまとめてみました。
中国語とは?
中国語
Wikipedia
中華民国・中華人民共和国・シンガポールの公用語であるほか、世界各国にいる華僑・華人たちの間で話されている。各方言を含む中国語を母語とする人は約13億9000万人、第二言語としても約2億人が使用しているといわれており、世界最大の母語話者人口を有する。国際連合における公用語の一つである。
中国語には、
- 中国・北京で話されている「北京語」
- 中国・上海で話されている「上海語」
- 香港・マカオで話されている「広東語」
- 中国・閩南地方(福建省南部)で話されている「閩南語」
のように、たくさんの方言があります。
北京語 | 上海語 | 広東語 |
---|---|---|
日本(リーベン) | 日本(ゼッベン) | 日本(ヤップン) |
東京(ドンジン) | 東京(ドンジン) | 東京(ドンゲン) |
中国語の方言は、発音や語彙がかなり異なります。香港で北京語を話しても通じなかったりします。

日本で例えたら青森県の津軽弁と沖縄の言葉ぐらい違うのかもね。
そのため、中国では「普通話(プゥトンホァ)」と呼ばれる、北京語の発音がベースとなった標準中国語が策定されました。「普通話」は、中国や台湾、シンガポールなどの公用語とされ、英語では「Mandarin Chinese(マンダリンチャイニーズ)」と呼ばれています。
中国語のことを中国語では「中文(zhōngwén / ヂョンウェン)」と言います。この言い方はどの国でも通じます。
中国の公用語・・・「漢語(hànyǔ / ハンユー)」
台湾の公用語・・・「國語(guóyǔ / グオユー)」「華語(huáyǔ / ファーユー)」
香港・シンガポールの公用語・・・「華語(huáyǔ / ファーユー)」
それぞれの国内では公用語のことを上のように言います。どれも各国で話されている中国語(普通話)のことを指します。
中国語の文字は共通?
残念ながら共通ではありません。中国語に使う字体は「繁体字」と「簡体字」の2種類あります。
簡体字を使う国 | 繁体字を使う国 |
---|---|
・中国 ・シンガポール ・東南アジアの一部 | ・台湾 ・香港 ・マカオ |
簡体字と繁体字の違い
- 簡体字・・・画数が少なく簡略化された字体
- 繁体字・・・簡体字ができる前まで使っていた字体で画数が多い
簡体字 | 繁體字 | |
ありがとう | 谢谢 | 謝謝 |
さようなら | 再见 | 再見 |
すみません… | 请问 | 請問 |
ごめんなさい | 对不起 | 對不起 |
気にしないで | 没关系 | 沒關係 |
りんご | 苹果 | 蘋果 |
学生 | 学生 | 學生 |
病院 | 医院 | 醫院 |
携帯電話 | 手机 | 手機 |
天気 | 天气 | 天氣 |
好き | 喜欢 | 喜歡 |
売る | 卖 | 賣 |
買う | 买 | 買 |



繁体字の方が日本で使っている漢字に似ているみたい。逆に簡体字は簡略化しすぎていてわかりにくいなぁ…。
台湾の公用語「國語」の特徴
台湾の公用語は「國語(guóyǔ / グオユー)」と呼びます。または「華語(huáyǔ / ファーユー)」「中文(zhōngwén / ヂョンウェン)」と呼んだりもします。ちなみに「台湾華語」という言い方は、我々のような外国人が台湾で話されている中国語のことを指すときに使っています。
台湾では公用語の他に、中国語の方言である閩南語由来の「台灣語」や、客家人が話す「客家語」、原住民の諸言語など、数種類の言葉が話されています。
國語は、普通話とほぼ同じですが、発音や語彙が台湾風味になっていたりします。
中国で話されている中国語と台湾で話されている中国語の違い
発音記号(読み仮名)
中国では「拼音(ピンイン)」というローマ字の読み仮名を使います。
wǒ shì rìběn rén ← ピンイン
我是日本人
私は日本人です
台湾では「注音符号(ボポモフォとも呼ばれる)」という独自の読み仮名があり、ピンインは使いません。
ㄨㄛˇ ㄕˋ ㄖˋㄅㄣˇ ㄖㄣˊ ← 注音符号
我是日本人
私は日本人です
ピンインはローマ字表記なので、外国人が中国語を学習する際に使うことも多いです。日本で中国語を学ぶ場合、ピンインを使用していることが多いですし、書店に売っている学習教材のほとんどが簡体字&ピンインです。


声調の抑揚がゆるやか
中国語には第一声から第四声まで4つの声調(トーン)があり、中国で話されている普通話は声調の抑揚を大きくつけて勢いよく発音します。つまり、大きな声で発音する必要があるのです。
それに対して台湾では、声調の抑揚をゆるやかにつけて発音します。そのため、「台湾人が話す中国語は中国人の話す中国語よりも柔らかく聞こえる」と言われています。
舌を巻かないで発音する
台湾人は「捲舌音(けんぜつおん)」と呼ばれる舌を巻いた発音をあまりしません。
台湾風に発音すると
「zhi / ㄓ」「chi / ㄔ」「shi / ㄕ」
↓
「zi / ㄗ」「ci / ㄘ」「si / ㄙ」
下のように聞こえることが多いです。
chī / ㄔ
吃
⇒中国式に舌を巻いて発音すると「チー」と聞こえる
⇒台湾式に発音すると「ツー」と聞こえる
「n」と「ng」の発音を区別しない
台湾人は「en(ㄣ)」と「eng(ㄥ)」 、「an(ㄢ)」「ang(ㄤ)」の発音をあまり区別しないで使っています。
同じように聞こえる例
感(gǎn / ㄍㄢˇ)≒ 港(gǎng / ㄍㄤˇ)
跟(gēn / ㄍㄣ)≒ 耕(gēng / ㄍㄥ)
R化しない
中国(特に北部)で話される中国語は、語尾に「ㄦ(アール)」を付ける(=R化)ことが多いですが、台湾では基本的にR化しません。
台湾人は舌をあまり巻いて発音しないので、捲舌音の「ㄦ(アール)」をつけて発音することがないのです。例えば、「er(ㄦ)」は、中国だと舌を巻いて発音しますが、台湾ではあまり舌を巻かないため「e(ㄜ)」のように聞こえます。
軽声が少ない
中国で話される中国語は軽声でも、台湾では軽声にならない単語が多いです。なので、辞書で調べた発音と違って聞こえるかもしれません。(多くの辞書は中国で話される普通語が基準となっているため)
dōng xī / ㄉㄨㄥ ㄒㄧ
東西
⇒ 台湾では「西」は「シー」と1声で発音
⇒ 中国では「西」は「シ」と軽く発音
méi guān xì / ㄇㄟˊㄍㄨㄢ ㄒㄧˋ
沒關係
⇒ 台湾では「係」は「シー」と4声で発音
⇒ 中国では「係」は「シ」と軽く発音
語尾がつく
台湾人は「啊(ā/ㄚ)」「喔(ō/ㄛ)」「噢」「哦」などをよく語尾につけます。日本語の「〜だよ」「〜だね」みたいな感じです。
hǎo ā / ㄏㄠˇ ㄚ
好啊~
いいよ〜
hǎo kě’ài ō / ㄏㄠˇㄎㄜˇㄞˋㄨㄛ
好可愛喔~
かわいい〜
語尾にこれらがつくと、中国の人からは柔らかく聞こえるようです。
台湾語
台湾で公用語の次に話されているのが「台湾語」です。「台語(タイユー)」とも呼ばれ、台湾の南部に行くほど日常的に使う人が多くなります。特に年配の人の使用率は高いです!
台湾で話されている中国語(國語)と台湾語は、発音や文法などかなり違います。あいさつなど簡単な言葉を覚えて、夜市とかで使ってみてください!
中国語(國語) | 台湾語 | |
こんにちは | 你好 (ニーハオ) | 哩厚(リーホー) |
ありがとう | 謝謝(シェシェ) | 多謝(ドウシャー) |
すみません | 不好意思(ブーハオイースー) | 歹勢(パイセー) |
最後に
中国語を勉強する場合、どこ出身の先生から学ぶのかがとても重要です!特に台湾の中国語(台湾華語)を習得したいなら尚更です!
台湾華語は、舌を巻かなかったり、R化しなかったりと、日本人には学びやすいと思います。日本で購入できる教材は圧倒的に普通語の物が多いですが、最近は台湾出身の方が執筆した教材も増えてきました。
独学でも勉強できる環境が整ってきたので、台湾に興味がある方はぜひチャレンジしてみてくださいね!
台湾華語の単語を覚えるならこの本
待望の『台湾華語』の単語帳がアスク出版さんより発売されました!もちろん繁体字&注音符号、台湾の方による音声付きです。掲載されているのは入門~初級レベルの1000語。
台湾的な発音で中国語の単語を学ぶならこの本が良いと思います。
今回はここまで。謝謝,下次見 ☺