中国語の補語は大きく6つあります。
- 様態補語(動作の状態を描写する)
- 程度補語(動作の程度がどうなのかを表す)
- 結果補語(動作や行為の結果どうなったのかを表す)
- 方向補語(動作の方向性を表す)
- 可能補語(動作が実現可能かどうかを表す)
- 数量補語(動作の回数や経過した時間、継続した時間を表す)
「補語」は使いこなすことがかなり難しいので、苦手な方も多いのではないでしょうか。
今回は、中国語の補語シリーズ第4弾として「方向補語」の使い方です。方向補語はボリュームが大きいので2回に分けて解説します。
方向補語とは?
方向補語は、動詞の後ろに置いて、その動詞の行為の具体的な方向や状態の方向を表します。
方向補語の種類は3つ
方向補語になるものは方向を表す次の動詞に限られます。
來 | lái / ㄌㄞˊ |
去 | qù / ㄑㄩˋ |
上 | shàng / ㄕㄤˋ |
下 | xià / ㄒㄧㄚˋ |
進 | jìn / ㄐㄧㄣˋ |
出 | chū / ㄔㄨ |
回 | huí / ㄏㄨㄟˊ |
過 | guò / ㄍㄨㄛˋ |
起 | qǐ / ㄑㄧˇ |
開 | kāi / ㄎㄞ |
方向補語は、単純型と複合型の2つの型があります。単純型はさらにタイプⅠとタイプⅡの2つに分けられます。
① 単純型方向補語タイプⅠ「来」と「去」
② 単純型方向補語タイプⅡ「上・下・進・出・回・過・起・開」
③ 複合型方向補語(①と②を組み合わせたもの)
単純型方向補語の使い方

単純型タイプⅠ:來と去
「來」と「去」は、動作をして近づいてくるのか遠ざかるのか、話し手から見た動作の方向を表します。
動詞+來 / 去
來・・・自分に近づいてくる
貓咪跑來了
猫が走ってくる(跑+來=走る+来る)
去・・・自分から遠ざかる
我的帽子被她拿去了
帽子を彼女に持っていかれた(拿+去=持つ+行く)
場所を表す場合
場所を表す場合は、目的語は「来/去」の前に置きます。
動詞+場所+來 / 去
姐姐進房間來了
姉が部屋に入ってきた
他回家去了
彼は家に帰っていった
我到台中去了
台中に行ってきました
動作が実現していない場合
動作が実現していない場合も、目的語は「来/去」の前に置きます。
動詞+目的語+來 / 去
我想借相機來拍照
カメラを借りて(きて)写真を撮りたい
我沒拿字典來
辞書を持って來なかった
動作が実現済みである場合
目的語が場所ではない場合で動作が実現済みならば、目的語は「来/去」の後ろに置きます。
動詞+來 / 去+(了)+目的語
他拿來了一瓶酒
彼はお酒を1瓶持ってきた
我今天搬來了這裡
今日ここに引越してきました
単純型タイプⅡ:上・下・進・出・回・過・起・開
単純型タイプⅡの方向補語は、「上・下・進・出・回・過・起・開」の8つあります。どの方向に動作するのか、客観的な動作の方向性を表します。
単純型タイプⅠの「來」「去」とは異なり、目的語の有無に関わらず方向補語の後ろに目的語を置きます。
動詞+上・下・進・出・回・過・起・開
動詞+上・下・進・出・回・過・起・開+場所
動詞+上・下・進・出・回・過・起・開+目的語
上・・・下から上に到達する
我爬上山
山に登る
【例】穿上(着る、履く),跑上(駆け上がる),飛上(飛び立つ、舞い上がる)etc .
下・・・上から下へ向かう
請放下行李
荷物を置いてください
【例】跑下( 駆け下りる),收下(受け取る),留下(残る、手元に留める)etc .
進・・・外から中へ 向かう
貓咪走進房間
猫が部屋に入る
【例】搬進(運び入れる)etc .
出・・・中から外へ向かう
他拿出鑰匙
彼は鍵を取り出す
【例】帶出(持ち出す),搬出(運び出す)etc .
回・・・戻る
弟弟跑回家了
弟は家に走って帰った
【例】放回(もとの場所に戻す)etc .
過・・・通過する
飛機飛過天空
飛行機は空を飛んでいった
【例】飛過(飛んでいく)etc .
起・・・下から上へ 、起きる
請拿起杯子
グラスをお持ちください
【例】拿起(持ち上げる)etc .
開・・・離れる、広がる
請推開門
ドアを開けてください
【例】離開(離れる),想開(心を広く持って考える),分開(別れる、分ける)etc .
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