今回は、「把」構文の使い方です。日本語に当てはまらない表現なので、苦手意識がある方も多いかもしれません。でも、意外と簡単!一度覚えてしまうと使い勝手がいいので重宝します。
「把」を使わないと表現できないケースもあるので、この機会に是非マスターしましょう。
「把」構文とは
私は「お茶」を「飲み干した」
私は「鍵」を「失くしてしまった」
私は「牛乳」を「冷蔵庫の中」に「入れた」
私は「カメラ」を「妹」に「貸した」
のように、「特定のもの」を「どのようにしたか」ということを強調して表したいときに把構文を使います。
また、上の例文の3つ目・4つ目のように、「~を・・・に○○する」ということを表すのに把構文がよく使われます。というか、使わないと表現できないのです。
把構文の基本の語順はこうです。
把+目的語+動詞

中国語の語順は通常「SVO」ですが、把構文の場合は、日本語と同じように目的語が動詞より先にくる「SOV」になります。
助動詞や副詞は「把」の前に置きます。
wǒ kěnéng bǎ chēpiào nòng diūle
我可能把車票弄丟了
きっぷを失くしたかもしれない
否定形は「沒(有)」を使います。
hái méi bǎ qián hái gěi wǒ
還沒把錢還給我
まだお金を返してもらってない
何のために「把」構文を使うのか
把構文を使う理由は、上で述べたように「把構文でないと表現できないケースがある」からです。そして、把構文には「話す側が目的語をどのようにしたのかという動作の結果を相手に明確に伝える働きがある」からです。そのため、把構文は会話でよく使います。
wǒ shōu xiàle yī fèn lǐwù
① 我收下了一份禮物
wǒ bǎ yī fèn lǐwù shōu xiàle
② 我把一份禮物收下了
上の例文は、日本語にすると「私はプレゼントを受け取りました」と2つとも同じになってしまいますが、中国語ではこのようなニュアンスの違いがあります。
①は「私はプレゼントを受け取った」という事実を述べている
②は「プレゼントを受け取った」という事に重点を置いて相手に伝えている
「把」構文の使い方
目的語は具体的に特定できるものにする
具体的に特定できるものとは、例えば、固有名詞や指示代名詞、限定語で修飾しているものです。
tā bǎ yī běnshū dài láile
× 他把一本書帶來了
彼は本を持ってきた
tā bǎ nà běnshū dài láile
○ 他把那本書帶來了
彼はその本を持ってきた
相手に何のことだか伝わる場合や文脈で特定できる場合は、特定できる目的語でなくても置くことができます。
qǐng bǎmén guānshàng
請把門關上
ドアを閉めてください
bàba bǎ chēzi mài diàole
爸爸把車子賣掉了
父が車を売った
例えば、ドアにこの文章が貼ってあるなら、見た人はどのドアだか分かります。父親の車なら、子供はどの車だか分かります。このような場合は、固有名詞や指示代名詞、限定語で修飾しなくてもOKです。
動詞に関する制限事項
把構文を使う場合、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 動詞に「在 / 到 + 場所」をつける
- 動詞に「給 + 対象」をつける
- 動詞に「成」をつける
- 動詞に「了」または「著」をつける
- 動詞に補語をつける
- 動詞に動量詞をつける
- 動詞の重ね型を使う
1つずつ説明していきます。
動詞の後ろに「在 / 到 + 場所」をつける
誰か・何かをどこかに移動することを表します。
このケースの場合は把構文を使う必要があります。
我把手機忘在家裡了
スマホを家に忘れてきた
可以把行李放在這裡嗎?
荷物をここに置いてもいいですか?
請把車開到飯店門口
車をホテルの入り口につけてください
我是能把孩子帶到公司去
私は子どもを会社に連れていくことができる
動詞の後ろに「給 + 対象」をつける
何かを誰かに渡すことを表します。2つの目的語を使う動詞と一緒に使います。
このケースの場合は把構文を使う必要があります。
我把錢交給她了
私はお金を彼女に渡した
請你把這封信寄給公司
この手紙を会社に郵送してください
動詞の後ろに「成」をつける
「成」をつけると、何かを別の何かに変化させることを表します。
このケースの場合は把構文を使う必要があります。
我把日幣換成台幣了
日本円を台湾ドルに両替した
請你把日文翻譯成中文
日本語を中国語に訳してください
動詞の後ろに「了」または「著」をつける
請把那頂帽子摘了
あの帽子を取ってください
我把車票弄丟了
乗車券をなくしてしまった
動詞の後ろに補語をつける
ただし、可能補語だけはつけることができません。
請把窗戶打開
窓を開けてください
我把我的地址寫錯了
住所を書き間違えた
我把今天的作業做完
今日の宿題をやり終えた
動詞の後ろに動量詞をつける
我把門敲了兩次
ドアを2回ノックした
你可以把這個包裝一下嗎?
これを包装できますか?
動詞の重ね型を使う
請把燈開開
明かりを点けてください
「把」構文で使えない動詞
把構文には使えない動詞があります。特に把構文では自動詞は使えないと覚えておいてください。
自動詞(目的語をとらない動詞)
笑(笑う),哭(泣く),走(歩く),跑(走る),休息(休む),工作(仕事する),游泳(泳ぐ),壞(壊す),病(病気になる)etc .
動作を示さない動詞
是(〜である),有(ある),在(いる、ある)etc .
心理動詞・知覚動詞
想(思う・考える),喜歡(好む),討厭(嫌う),知道(知る),明白(分かる),希望(希望する),感情(感動する),傷心(悲しむ)etc .
方向を表す動詞
來(来る),去(行く),上(上がる),下(下がる)etc .
まとめ
今回は、把構文について解説しました。
把構文はこのような時に使いましょう。
- 「~を・・・に○○する」ということを言いたいとき
- 「目的語をどのようにしたのかという動作の結果」を相手に明確に伝えたいとき
動詞の制約は覚えるしかないので、頑張って覚えましょう。